日本中が無事を祈っていたあの子。
きっと
「いってきます」
も言えずに遠いところへ行ってしまった。
生まれてからほんのわずかの間、あの子がこの世で味わうことの出来た幸せはどれ程のものだっただろう?
そっちに行く間際
辛かっただろうね。
苦しかっただろうね。
悲しかっただろうね。
君の声がきこえてくるようです。
「なんのために生まれてきたの?」
僕ら大人はその純粋な質問に答えることができず、畏怖し、震えて立ちすくむだけ。
君より遥かにたくさんの時間、この世を享受しているくせに。
「なんのために生まれてきたの?」
胸が掻き毟られる。
あの子がこの世で感じるべき美しいものは、まだまだ沢山あったはず。
無限に近いほど。
「なんのために生まれてきたの?」
ほんの一瞬だけだった。
君がこの有限の世界に滞在できた時間は。
もっともっと、世界からの抱擁を享けるべきだったんだ。
この有限の世界で、無限を感じるべきだったんだ。
でもその前に無限の世界へ連れてゆかれてしまった。
天使のようなあの子。
みんな、みんな。
君の幸せを祈っているよ。



